仕事でのミスを頻発して対人恐怖。通算10年のブランク。そんな私が安心して働ける職場を見つけるまで | キズキビジネスカレッジ

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仕事でのミスを頻発して対人恐怖。通算10年のブランク。そんな私が安心して働ける職場を見つけるまで

酒井哲也さん(仮名、取材当時30代後半、画像は全てイメージ)
病気・特性:対人恐怖(寛解)、社交不安障害(寛解)、ASD、ADHD(傾向)
KBC利用期間:約10か月
※掲載画像は全てイメージです

「子どもの頃から、周りの人との間に何か違和感があると感じていました。友達といても疲れてしまったり、一人でいたいと思う日があったり…。自分は他の人と違うんじゃないか、と悩むこともありました。」

そう語るのは、現在、コンサル業界で事務職として働く酒井さん(30代)。ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、ADHDの傾向もあるという酒井さんが、KBC(キズキビジネスカレッジ)での学びを通して、自分らしい働き方を見つけるまでの道のりをご紹介します。

1. 「なぜ、私は浮いてしまうんだろう?」違和感と苦悩の学生時代

私の学生時代は、常に「違和感」との闘いでした。

子どもの頃から、「友達といるのは楽しいのに、なんだか疲れる」と感じることが多く、誰かと一緒にいたはずなのに、理由もなく「もう帰りたい」と思う日もありました。

きょうだいも多いので、別に人付き合いが苦手ってわけじゃないんですよね。でも、一人で行動することがよくありました。

周りの子たちは、当たり前のように友達とワイワイ楽しそうにしている。でも、私はどうしてもその輪の中に入っていくことができない。無理して合わせようとすると、どっと疲れが出てしまうんです。

「もしかしたら、私はみんなとは違う生き物なんじゃないか」、そんなふうに空想することもありました。当時は「思春期だからかな」と思っていましたが、今思うと、あれはASDの特性だったのかもしれません。

大学では、1年生の後半に短期でアメリカへ留学。そこで「自閉症」について学んだときに、「自閉症の人は、何もないのにニヤニヤ笑っている」という特徴を聞いて、ハッとしました。私も、人から「なんで笑ってるの?」と聞かれることがよくあったんです。

「もしかして自分も」と思いましたが、そのときは深く掘り下げることなく、いつしか忘れていました。

留学中は、(今思えば)ASDの特性が強く出て、新しい環境に慣れるのに時間がかかりました。人見知りもあり、積極的に人と関わることができず、孤独を感じることもありました。

2. 新卒時の就職活動では、コミュニケーションがうまくいかず、就職先が決まらなかった

大学新卒時の就職活動では、書類作成や面接でのコミュニケーションがうまくいきませんでした。

特に「学生時代に何をしていたか」をうまく伝えられませんでした。自己PRをしようにも、自分の強みがよく分からない。

面接で何を話せばいいのか分からず、緊張して言葉に詰まることもありました。

アルバイトをしていればまた違ったのかもしれません。しかし私は学校に行くだけで疲れていました。「こんな自分が働いても大丈夫か、迷惑をかけないか」という不安があって、アルバイトはしていませんでした。

結局、就職先は決まりませんでした。当時はリーマンショックの影響もありましたが、そうでなくても苦戦していたと思います。

3. 仕事を始めたが、ミスを頻発。転職を繰り返し、対人恐怖を覚える

そのあと、「就業先が決まっていない人向けのインターン」に応募。IT系の事務職のインターンとして従事することになりました。

しかし、入社後、指示を理解することが難しく、ミスを繰り返していました。

言われた通りにやっているはずなのに、いつも不備があるんです。

自分でも、ミスをした後には「指示の前後の流れをわかっていなかったからミスをした。こんなの、ちょっと考えればわかったはずなのに」と気づきました。でも、間違える。

それが不安で、何度も上司に確認するのですが、呆れられたり、作業が遅いと怒られたり…。作業が遅く、確認が多い、それでもミスもある、という悪循環に陥っていました。

環境を変えようと、音楽が好きだったことからエンタメ業界にも挑戦しましたが、思うようにいかず。

その後に就いた小売業でも、激務とマルチタスクでミスを連発しました。発注単位を間違えたり、忙しさから表情が固まったり…。自分でも「ASDっぽいな」と自覚する瞬間が増えていきました。

そんなことが続くうちに 対人恐怖を覚えるようになり、小売業も退職しました。

小売業を退職してから1〜2年間は働くことへの不安が強くなり、外に出るのは平気でも、「働く」ということに強いブレーキがかかってました。

4. ASDの診断と自己受容への道のり

小売業を辞めてから3年程経った30歳の時に、「自分は病気なのではないか」と思い、病院で検査を受けたところ、ASDと診断されました。

そこで「障害者雇用で働こう」と思い、医師から紹介された就労移行支援事業所を利用しました。しかしその事業所は発達障害への理解が十分でなく、支援も充実していなかったため、すぐに辞めました。

また、当時私が住んでいた地域の障害者雇用では、給料もよくなかったんです。「未来が見えない」と思い、対人恐怖も再発しました。

そこから3年ほど引きこもりの生活を送り、いよいよお金が尽きてきて、障害年金の申請を決意しました。

この「障害年金の申請」が、自分と向き合うという意味で大きな転機となりました。

申請にあたっては、自分の生活上の困難を具体的に書き出す作業があります。

それを通じて「もしかしたら、私は今まで、とてもつらい経験をしてきたのかもしれない」という、自己受容ができるようになったんです。

そこからだんだん、前向きに考えることができるようになりました。

5. 「今度こそ、自分らしく働きたい」KBCとの出会いと新たな挑戦

支援や障害者雇用の充実していない地元を離れて、東京に行くことを決意。就労移行支援事業所を10社ほどピックアップしました。

当時の私はライティングを本格的に学びたいと思っており、SNSでつながっている発達障害の方から「だったらKBCがおすすめ」と教えてもらいました。

見学に行った結果、KBCのスタッフの方々は、とても親身になって話を聞いてくれました。

また、仕事に関連した自己理解ができること、実際にライティングを学べることに魅力を感じ、KBCへの入所を決断しました。

6. KBCでの学び、スキルアップと自己理解の深化

KBCでは様々な講座を受講し、就職に向けてのスキルアップと自己理解を深めていきました。

まず、私が力を入れたのは、もともと希望していたライティング講座でした。

KBCのライティング講座では、単に文章の書き方を学ぶだけでなく、マーケティング思考に基づいたライティングスキルを習得することができます。とても勉強になりました。

並行して、自己理解講座にも参加しました。私は自己理解は自分なりにできていたつもりでした。実際に、講座を受けることで、「自分のやってきたことは間違っていなかった」と再認識することができました。

その他にも、ウェブマーケティング、TOEIC、英会話、Excelなど、多岐にわたる講座を受講しました。これらの講座は、就職活動を始めたため途中で受講を途中で終えましたが、実用的な内容だったと感じています。

中でも、私が特に役に立ったと感じているのはExcel講座です。障害者雇用だと、事務系の求人が多いです。障害者雇用での就職を目指すなら、Excelスキルは身につけておいて損はないと思います。

話が前後しますが、私自身も、選考で「事務未経験ですが大丈夫ですか」と聞かれた時に、Excelの成果物、KBCでの事務の手伝いの経験、MOS取得を目指していることなどを、自信を持ってアピールできました。MOS基礎は、1か月くらいで取得できました。

他にも、「ビジネスシーン失敗回避術」という講座は、過去の掘り起こしに役立ち、就活でのアピールポイント発見のヒントになりました。

上手く対応できていた経験は自己PR&長所発見に繋げて、困難を感じていた経験は障害特性&短所対策に繋げることができました。

KBCは、「講座の直接的な内容」以外にも役立ったことがあります。

一つは、「日報の作成」です。KBCでは、その日にやったことを日報にしっかり書いていました。これによって、自己理解や学習精度が上がりました。

今の勤め先でも、業務を振り返って工数や課題、原因、改善策などを考えていることが上司に評価されています。

次に「通所したことそのもの」です。継続した通所は、「働いていないブランク期間が通算で10年近くある私」が企業へ就労継続できることをアピールするために役に立ちました。

7. 就職活動と内定獲得〜自己PRの方法を学んだ〜

KBCに入所してから半年ほどで、就職活動を開始しました。KBCのスタッフのサポートを積極的に活用し、履歴書作成や面接対策などを行いました。

履歴書作成や経歴のアピール方法などは、自分一人ではわからなかったところを、KBCで丁寧にサポートしてもらえました。

特に、履歴書の作成では、過去の仕事を振り返り、自分の強みやスキルを整理するサポートをしてもらえたので、助かりました。

また、途中までは企業研究を深くやり過ぎていて、いろいろな情報を得てしまっていたがゆえに、時間をかけた割に企業が求める人物像とズレが生じていました。

ポイントを教えていただいたことで、企業研究の時間が大幅に短縮され、企業のニーズに沿った志望動機や自己PRが作りやすくなりました。

面接も本当に苦手だったので、KBCでの模擬面接は助かりました。

スタッフの方々は、私の話をじっくりと聞いて、的確なアドバイスをくれました。おかげで、本番でも落ち着いて話すことができ、自分のことをしっかりと伝えることができました。

スタッフの方からの言葉で、特に印象に残っているものがあります。

面接が上手くいかなかった時、「講座の中で対話力があると感じている。相手の意図を汲んで先読みして話したり、分かりやすく伝える力がある。面接でも、いつも通り話した方がいい」と言ってもらえたんです。

面接ではこうすべき、という固定観念にとらわれず、私に寄り添って考えてもらえたのが嬉しかったです。

8. 「安心して働ける職場」に就職

現在の会社は、障害者雇用の求人サイトで見つけました。障害者への理解が進んでいて、相談員の方もいるので、安心して働ける環境だと感じました。

有給や休憩も取りやすく、自分のペースで働けています。

業務説明の前にマニュアルを送ってくれたり、仕事を覚えるのに時間がかかることも考慮してもらえています。

今はまだ教わる立場ですが、いずれは自分も人を教える側になれたらと考えています。

入社当初は分からないことが多く、言われたことを確実にやることを意識していましたが、慣れて来たことで次第に主体性を持って課題解決ができるようになってきました。

意見発信も時折できており、業務改善案や社内企画案が通ったことがあります。

9. 同じように悩む人たちへのメッセージ〜「向いてる」のハードルを下げて、自己理解を深める〜

「障害者雇用で働くと、職場から手取り足取りサポートしてもらえる」というイメージがあるかもしれません。しかし、ある程度は自分で考えて行動する必要があります。

自分の特性を理解し、苦手なことは周りの人に相談しながら、できることを少しずつ増やしていくことが大切です。

また、失敗できる場所で、いろいろ試してみることも重要です。

KBCは、安心して失敗できる環境です。不安な場所では挑戦できません。自信や自己肯定感が下がっていると難しいと思いますが、少しでも興味があることには、積極的にチャレンジしてはいかがでしょうか。

そして、「すごくできること」じゃなくて、「普通にできること」「工夫できること」を探すのも大事なのかなと思います。

発達障害というと「特性を活かして、ぜひ社会活動してもらおう!」みたいな話になりがちです。しかし現実的には、めちゃくちゃ才能がある人、めちゃくちゃスキルがある人は、そんなにいないんじゃないでしょうか(笑)。

「めちゃくちゃできる」わけじゃなくても仕事はあります。「向いている」のハードルを下げて、自己理解を深めながら仕事を探してみてください。

最後に、KBCのスタッフは、利用者の自主性を尊重しつつも、希望を伝えれば、それに応えようとしてくれる人が多いです。

私は人生で何度も挫折経験を繰り返してきましたが、あきらめずに本気で人生をやり直そうとしていました。そんな熱意を汲み取ってサポートしてくれるスタッフの方がいてよかったと思います。

あなたもぜひ、KBCに相談してみてください。

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