希望を届けるライターになりたい。だから私は、KBCを選んだ
Tさん(インタビュー時35歳。画像はイメージです)。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)大阪校を利用中。
Tさんは、1歳で学習障害と診断。大学生のときには発達障害ASD(自閉症スペクトラム障害)2級の診断も受けました。
大学卒業後は、就労継続支援事業所(※)に就職。趣味ではブログ執筆、新聞のコラム投稿を楽しんでいました。しかし、あるきっかけで「独立してライターになる」と決心。そのための方法をいろいろ調べる中で、KBCを知りました。
KBCの体験講座を受けて「ここで学んだら自分の夢に挑戦できる」と確信して利用を開始。「『希望』を伝える、ユニークなライターになる」という夢を叶えるために、KBCで学ぶTさんに、これまでの経緯やKBCの感想などを取材しました。
※就労継続支援事業所…通常の事務所や企業で雇用されることが困難な障害者に向けて、就労の機会の提供および生産活動の機会を提供する施設や事業体のこと。(参考:厚生労働省※PDF「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」)
目次
1歳で学習障害の、大学生のときには発達障害2級の診断
現在35歳の私は、1歳で学習障害の診断を受けています。そして、大学生のときには、発達障害(ASD、2級)の診断もおりました。
小中学校では特別支援学級に通って、大学卒業後は就労継続支援事業所に勤めていました。
就労継続支援事業所では、私と同じように、何らかの障害を抱えている方々と一緒に内職の仕事をしていました。
仕事内容は、コースターや飾り物の作成、商品袋のシール貼りなど、シンプルな作業が多かったですね。作業者同士がフォローし合う空気があり、居心地よく働ける雰囲気でした。
また、毎週金曜日は施設でオープンしている喫茶店での仕事もあって、お客さまとの関り合いが楽しかったです。
施設のスタッフと利用者(作業者)の隔たりを感じさせない職場で、まるでみんなが家族かと思うくらい、毎日楽しく働いていました。
仕事を通じて見つけた、「文章執筆」という趣味
就労継続支援施設で働いている間の趣味として、ブログ記事の執筆や新聞へのコラム投稿を楽しんでいました。
その趣味が始まったきっかけには、私の発達特性が関係します。
私は発達障害の特性上、自分の考えを口頭で伝えることが苦手でした。
その対策として、職場で自分の考えやアイデアを文字に起こして相手に伝えるようにしたところ、「わかりやすい!」と言ってもらえました。「自分のこと」を、理解してもらいやすくなったのです。
この原体験から、自分の考えを文字に起こすことと発信することに、徐々に自信を持てるようになっていきました。
当初の私の執筆内容は、「発達障害を世の中の人に理解してもらおう」という思いを込めたものでした。
その後、勤め先の仕事にも慣れてきて、趣味を楽しむ余裕も生まれました。次第に、自分が好きなアーティストの新曲やライブのレビューなども発信するようになりました。
そして気づけば、全国紙・地元新聞にコラムを投稿したりなど、ジャンルを問わず様々なメディアやSNSで、発信活動をするようになっていました。新聞には、これまで10回は採用してもらいました。
こうやって、自分の記事が世の中へと発信されるのが醍醐味でした。
「ライターになりたい」という人生の決断。背中を押してもらい、KBCの利用をスタート
趣味に仕事と、充実した日々を送っているなか、休息を普段から取るように心がけていたのにも関わらず、精神的な不調が表れ、勤め先の施設を休みがちになりました。
自分に合った疲れの取り方を知らなかったために、趣味と仕事のことばかりを常に考えてしまっていたのです。その結果、脳をゆっくりと休められていませんでした。
また、母が仕事の過労からうつ病を発症したこともあり、自分自身のこれからの人生を見つめ直す必要を感じるようになりました。
そして、その現実を受け止めたときに、私は次のようなことを思いました。
「自分が得意とするライティングスキルを、ライターとして仕事にできるレベルまでに伸ばせられる場所。無理のないメンタルの整え方を学べる場所。そんなところはないだろうか」と。
その思いのもと、私は、様々な情報を調べていきました。
そこで見つけたのが、うつ病や発達障害の大人に向けて、専門的なビジネススキルやセルフケアの講義を行っているKBCでした。
KBCのウェブサイトをもっとチェックすると、まさに私が求めていた、実践的なライティングスキルの習得ができることがわかりました。
さらに、2021年秋に大阪校が開校することも知りました。
大阪にできるなら、京都に住んでいる自分でも通うことができる。本格的にKBCの利用を検討し始めました。
それにあたり、私は、勤め先の就労継続支援事業所の管理者の方に、「ここを辞めて、KBCという就労移行支援事業所に通所しても大丈夫でしょうか」と相談しました。
このとき、私は体調不良で仕事を休みがちでした。そのため、職員や同僚にご迷惑をおかけしているのではないかと思い込んでいました。「そんな自分が、こんなことを相談してもいいのか…」と、とても不安でした。
しかし、実際に相談してみると、管理者の方々からは「Tくんの人生なので、いいですよ。応援しています」と言ってもらえました。さらには、KBCに通所するための申請書まで作ってもらえました。
こうやって、後押ししてもらった私は、KBC大阪校の利用に向けて動き始めました。
実践的で、ハイレベルな講座。KBCを選んで本当によかった
KBC大阪校の利用案内に申し込んで、まず初めに、KBCスタッフさんとのオンライン面談が決まりました。
正直に言うと、かなり緊張していました。
しかし、KBCのスタッフさんとの面談は、オンラインでありながら温かみを感じる、親切なものでした。
「私が1歳のころから障害と向かい合っていること」や、「ライティングスキルを伸ばしてライターになりたいけれど、まだその自信が完全には持ち切れてはいないという心境」など、自分がずっと誰かに話したかったことを優しく受け止めてくれました。
趣味のブログ執筆や新聞への投稿活動も褒めてくれて、KBCに問い合わせてよかったと思いました。
ただ、KBCの利用にあたり、私が一番気にしていたことは「講座のレベル」でした。
ライティングスキルを伸ばして、ライターとして仕事する上で、やはり実力を身につけないと何も始まらないので、それを習得できる講座内容なのかを知りたかったのです。
結論、大正解でした。
まずは、ライターとして必要な基礎知識や執筆の手順を、講師である「実績のある現役のライターさん」から教わることができます。
その後は、教わった内容をもとに、自分でテーマを決めて実践的に記事を作成していきます。講義中に文章を添削してもらえるところも助かりますね。
また、講義中に文章化できなかったときでも、自習時間で補えるので、自分のペースで取り組めています。
それまでやってきた趣味のコラム投稿などとはまた異なる、ライターとして求められるライティングスキルを習得できていると実感しています。
KBCの最初の面談で話した「ライターとして仕事をする」ことへの不安は、講義中に自分の手を動かすことで解消されているような気がします。
一緒に講義を受けている利用者の方々も、ご自身の特性を理解しながら、成長意欲を持ってスキル向上に取り組まれています。そういった人たちの姿を見ると、「自分もやるぞ!」というモチベーションにもなりますね。
自分を知って、ごきげんに過ごせるコツも学んでいける
KBCには、「自己理解」という代表的な講座があります。
文字どおり、「自分についての理解」を深めるために様々な方法を学ぶ講座です。
この講座を通じて、「無意識のうちに、ついつい自分が陥りがちなマイナスの思考法」を知って、思考を柔軟にするハウツーを学んでいます。
私の場合、「~をしないといけない」「~でないとおかしい」という、「~すべき思考」が強かったことがわかりました。
この「~すべき思考」のために、以前は仕事や日常生活の場で、周囲の小言やミスにイライラしがちで、心も消耗していました。
しかし、自己理解の講座で自分の「~すべき思考」を認知できるようになって、客観的に自分を見ることができるようになりました。
そのおかげで、落ち着いて物事に対処できるようになってきました。心にゆとりが生まれた感覚です。
また、それだけでなく「自己理解面談」として、精神保健福祉士のスタッフさんと二人で次のような対話もして、自分の心を整理しています。
「なぜ、ライターとして仕事をしたいのか?」
「このような状況のとき、あなたはどうするか?」
対話を通じて、ライターとしての仕事をして、継続するためには、自分がどのような心持ちをしたらいいのかを、サポートしてもらっています。
そのほかのKBCの講座としては、ビジネススキルにつながる「デジタルマーケティング」や、業務中のミスを対処する「ビジネスシーン失敗回避術」などバラエティがあるのもいいところだと思っています。
そして、関西という地域柄か、スタッフさんも利用者の方々も面白くて、穏やかな雰囲気です。これも、私がKBC大阪校のことが好きな理由の一つです(笑)
悩んでいる人に「希望」を届けるライターになりたい
KBC利用開始当初のとおり、私の目標はライターとして仕事を獲得することです。
趣味を仕事にすることは大変だと思いますが、自分で「決心」できたことには自信を持っています。初動として、10年前に開設したブログの再開を進めています。
本格的にライターとして独立をした後、まず発信したいことがあります。
それは、「世間に対しての、発達障害・発達障害者の正しい情報」です。
今は発達障害は様々な雑誌やネット記事で取り上げられています。ですが、「発達障害を持つ人は才能に恵まれている」のような情報が、独り歩きしているような気がしています。
私は、そのような情報によって、発達障害者が余計に生きづらさを感じているのではないかと感じています。
全ての発達障害者が「キラキラ活躍したい」と思っているわけではないでしょうし、全員がそれを目指すべきとも思いません。
なので、まず私は、発達障害の正しい認知を広めていき、世の中にそれが浸透していくような発信を自分の仕事を通じて行いたいです。
そして、その上で、「活躍している発達障害者」の情報を発信できれば、発達障害の特性に悩んでいる人の希望になるのではないかと考えています。
私はそうした「希望」を発信できるようなライターになりたいです。
一方的に私が知っているだけですが、バリスタ、e-スポーツ選手などで活躍されている発達障害者がいらっしゃいます。
このような方々の記事をぜひ書いてみたいですね。
そのために、KBCでスキルとマインドをもっともっと高めていこうと思います。
この記事を読んでいるあなたも、発達障害やうつ病に関連して、今後のキャリアにお悩みや希望がありましたら、ぜひKBCに相談してみてください。
親切でプロフェッショナルなスタッフと一緒に、「これから」のことを考えて、次の一歩に進んでいけると思います。