ASDの診断を受け、不安を抱えていた私がKBCで学びを深め、就職活動に向けて歩み出すまで
YMさん(仮名、インタビュー時27歳)
病気・特性など:自閉症スペクトラム障害(ASD)
KBC通所期間:2025年3月15日~
※掲載画像はイメージ画像を含みます
ASDの診断を受け、仕事や日常生活に不安を抱えていた牧野泰英さん(仮名)。ホテル勤務時代には、細かい配慮の不足を指摘され、自分の特性に向き合わざるを得ない場面も経験しました。
そんな牧野さんは、父の勧めでキズキビジネスカレッジ(KBC)の存在を知り、2024年11月から通所を開始。パソコンスキルや簿記の学習を進めながら、自己理解を深め、就職活動に向けて着実に準備を整えています。
KBCでの学びや日々の変化、そして「何度でもやり直せる社会」という言葉に勇気を得ながら、新たな一歩を踏み出そうとしている牧野さんの歩みをご紹介します。
目次
細部にまで気を配る難しさ
——本日はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まず、牧野さんがKBCに通う前は、どのようなことで悩んでいましたか?
KBCを利用する前は、まだ診断が確定していなかったこともあり、漠然とした不安を抱えていました。家族とのコミュニケーションで、自分の話す内容がちぐはぐになったり、話しているうちに内容が変わったりすることがあり、それが課題だと感じて不安が募っていました。
——お仕事での困りごとはありましたか?
コミュニケーションに関しては大きな問題はありませんでしたが、以前ホテルで勤務していた際、当時の支配人から、細かい動作への注意不足を指摘された経験があります。
お客様がいるフロアで荷物を運ぶ際に、無意識に後ろ歩きをしていたことがあり、「お客様の前で同じことをしたらどうするのか」と指導を受けました。細部にまで気を配らなければいけない点に難しさを感じていましたね。
——そうだったのですね。
落ち着いて通える環境が安心につながった
——様々な不安やお悩みがある中で、KBCに通うことを決められた背景について教えていただけますか?
ASDの診断が確定し、退職も決まったタイミングで、父から勧められたのがきっかけです。父からKBCのパンフレットを見せてもらい、就労移行支援事業所という選択肢があることを知りました。
——数ある事業所の中から、KBCを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
決め手は、事業所の立地でした。大阪駅からKBCがある建物までの道は、梅田の中心部ほど混雑していません。精神的に落ち着いていない状態で多くの人が行き交う場所を歩くと気分が落ち込むことがあるので、比較的落ち着いて通える環境であることが、私にとっては非常に重要でした。
生活に直結する授業内容
——KBCに通い始めてからの印象や、特に学びになったと感じることは何ですか?
多くの学びがありますが、特に3点挙げられます。
1つ目は、苦手だったパソコンスキルを克服できたことです。週1回のExcel講座で応用的な技を学ぶことができました。
2つ目は、簿記会計の勉強を始められたことです。過去の授業動画を視聴しながら自分のペースで学べるのがありがたいです。
そして3つ目は、自己理解を深められたことです。面談などを通じて、これまでの人生を振り返る作業は、就職活動に必ず活きてくると感じています。
——様々な講座や面談を活用されているのですね。授業内容はいかがですか?
不安や怒りのコントロール、認知行動、習慣づくりなど、日々の生活に直接役立つ内容が学べるのが素晴らしいと感じています。どの授業も日常生活に取り入れられる学びがあり、非常に充実しています。
雑談から広がる安心感
——KBCでのスタッフや他の利用者さんとの関わりについて、何か印象に残っていることはありますか?
スタッフの皆さんが、雑談などを通じて話しやすい環境を作ってくれていると感じます。特に、自主的に利用者と交流してくださるスタッフの方がいるのは良い印象です。利用者との繋がりを大切にされているのだと感じますね。
苦手に無理をせず、自分のスキルを活かしたい
——現在、目標とされていることや、これから挑戦したいことを教えてください。
まずは就職活動開始を目標にしています。そのために簿記の勉強に集中していますが、それだけだと視野が狭くなることがあるので、新聞を読んで多様な話題に触れることも意識しています。どんな人とでもコミュニケーションが取れるように、準備をしておきたいです。
——就職活動を進める上で、大切にしたい軸はありますか?
現時点では特定の分野に絞っているわけではありません。ただ、これまでの経験から苦手な分野に無理に飛び込むのではなく、自分のスキルを活かせるところを探したいと考えています。簿記やExcelのスキルを活かせる事務職などを視野に入れつつ、ハローワークなどで紹介された職種にも前向きに検討していきたいです。
困難の中でも再挑戦できる
——最後に、KBCの利用を検討している方へメッセージをお願いします。
キズキがビジョンとして掲げている「何度でもやり直せる社会をつくる」という言葉が、すべてだと思います。この言葉は、困難な状況に直面しても再挑戦できる可能性を示してくれていて、非常に心強く感じます。この言葉が、迷っている方の背中を押してくれるのではないでしょうか。
——素敵なお言葉をありがとうございます。本日は貴重なお話をありがとうございました。
