認知の歪みとは? ASDとの関係や対人トラブルを防ぐ方法について解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
あなたは、以下のような悩みをお持ちなのではないでしょうか?
- 極端にネガティブに考えることが多くて疲れる
- 「~~~すべき」という考えに縛られ、周囲にもそれを押し付けてしまう
- 「相手に嫌われてる」という思いから人間関係がうまくいかない
これらのつらさの裏側には、認知の歪みがあるかもしれません。
また、発達障害の1つでもあるASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の特性である可能性も考えられます。
一方で、認知の歪みは、仕事においては質を高めたり、きめの細やかさに繋がったりすることもあります。
とはいえ、対人関係においてはトラブルの火種になったり、自分自身を必要以上に疲弊させたりするきっかけとなることも否定できません。
このコラムでは、認知の歪みの概要やASDとの関係性、認知の歪みによるトラブルを減らす方法などについて解説します。
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目次
認知の歪みとは?
認知の歪みとは、物事の受け止め方や解釈に偏りが生じる心理的な現象のことです。認知の歪みには、さまざまな種類があり、主な種類として以下のものが挙げられます。(参考:一般財団法人 日本精神医学研究センター「認知のゆがみ」、National Library of Medicine「Cognitive Behavior Therapy」)
ものごとを白か黒かの二元論でアンバランスに判断・評価する思考
例)「営業担当なら1件も成約が取れない日があってはいけない」
ほんの一部分だけを見てそれが全体であるかのように判断する思考
例)「会社に性格が合わない後輩が入ってきた。最近の若手社会人は全員あんなキャラクターなんじゃないかな?」
他人の感情や意図を深読みし、時にオーバーに解釈する思考
例)「会社で後輩に挨拶を無視された。陰で私をバカにしているかも…」
その物事が起こる前にどうなるかを決めつける思考
例)「広報部の企画した社員交流会なんて、どうせ行ったってつまらない」
客観的事実ではなく、その人の主観に基づいて主張したり物事を見る思考
例)「新サービス企画開発なんてやったって、どうせ売れない」
実際の状況ではなく自分の基準で、独自のシビアなルールを設定する思考
例)「後輩は飲み会でも先輩を立てるべきだ。少なくとも自分はそうやって育ってきた」
本当はほかの人に責任があっても、ネガティブな結果は全て自分のせいだと思い込む思考
例)「うちの部に最近覇気が無いのはたぶん、先週自分がミスをしたせいだ」
ネガティブな出来事を実際以上に拡大解釈し、ポジティブな出来事を過小評価する思考
例)「今日仕事でミスをしてしまった。解雇されるかもしれない」
これらの認知の歪みは、周囲を巻き込みトラブルのもとになる可能性があることに加えて、必要以上に自分を疲弊させて仕事のパフォーマンスに悪影響を与えるかもしれません。
認知の歪みとASDの関係
ASDのある人は、あいまいな状況を苦手としており、その性質が物事を白黒思考で判断する思考につながるという関係性が指摘されています。
名古屋大学大学院情報学研究科の平井真洋教授は、20~22歳の男女を被験者とした自身の研究の中で、ASDと白黒思考の一連の関係性をデータを通じて明らかにしています。(参考:名古屋大学 研究成果発信サイト「自閉スペクトラム傾向と「0か100か」思考の関係を解明 ~不確実な状況への耐えにくさを介する可能性~」)
本研究ではASDの人々の持つ白黒思考について、未知の状況から来る不安を解消するための工夫に由来するものではないかと推測をしています。
現段階では推測や通説の域を出ませんが、今後より多くの人を対象にした実験が実施される中で、認知の歪みとASDの強いつながりが証明される可能性もあるでしょう。
認知の歪みによって職場で起こりやすいトラブル
認知の歪みによって職場で起こりやすいトラブルは、以下のとおりです。
- 白黒思考によって、完璧を求めるあまり、資料のレイアウトやフォントなど、作業の目的とは関係のない部分にまで時間をかけ、納期までに仕事が終わらない
- 過度な一般化によって、自分が正論だと思うことを当たり前かのように発言した結果、反感をを買い、同僚や顧客との関係にヒビが入る
- 「べき」思考によって、組織内で結果を早く出すことにこだわりすぎるがあまり、自分の限界を超えた範囲の業務量を抱え込んでしまってパンクする
- 「べき」思考によって、まじめに責任をもって仕事を全うすることが当たり前だと思うあまり、しきい値を超えたストレスが襲ってきた瞬間に燃えつきる
- 拡大解釈と過小評価によって、自分の能力を過小評価するあまり、昇給や昇進のチャンスを逃す
仕事において、質やレベルの高さにこだわることは、場合によっては大切かもしれません。
しかし、一旦距離を取って考えてみると、認知の歪みによるこだわりは、ときに自分自身や周りにマイナスの影響を与えている可能性もあります。
認知の歪みによるトラブルを減らす方法
この章では、認知の歪みによるトラブルを減らす方法について解説します。
方法①アサーションのDESC法を取り入れる
認知の歪みによるトラブルを軽減するための方法の1つが、アサーションのDESC法です。(参考:平木典子『アサーション・トレーニング さわやかな「自己表現」のために 金子書房』)
アサーションとは、1950年代の北アメリカで心理療法として開発されたもので、攻撃的にも低姿勢にもならない姿勢で自分の主張を伝えるコミュニケーション技法のことです。
その中でも相手を尊重しつつ的確に自分の意思を伝えるアサーション技法として、DESC法があげられます。DESC法とは、コミュニケーションのプロセスの頭文字を取ったものです。(参考:平木典子『図解 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術 人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ』)
- D(describe):事実を指摘する
- E(express, explain, empathize):相手に共感した上で、気持ちや考えを表現する
- S(specify):具体的な提案をする
- C(choose, consider):提案に対する選択を相手に委ねる
例として、会議の議事録作成において、意見が対立している上司に自分の主張を伝えるという状況での、DESC法の使い方をみてみましょう。
部長、一つご提案があるのですがよろしいでしょうか?会議の議事録作成についてですが、現状、1時間ほど時間を使っている状況です。
議事録を作成をすることで、業務に対する理解度も深まってきています。ですが、議事録作成に多くの時間ととられることで、ほかの業務に支障が出ています。
議事録作成にかかる時間を短縮するために、段階的に生成AIツールを用いた議事録の自動文字起こしを導入したいと考えております。
次週の会議でこれまでの方法での議事録作成と並行し、試験的に文字起こし機能を用いた議事録も作成してみてもよろしいでしょうか?
このように一連のフォーマットを用いることで、相手を責めすぎない建設的な自己主張ができます。
一方で、以下のような対応をすると、自分の考えが上司に伝わらなかったり、伝わったとしても相手に受け入れてもらえなかったりする可能性が高まるでしょう。
「AIを活用することが当たり前になりつつある中で、まだ部下にタイピングさせるのは古いやり方じゃないですか?」とストレートに伝える
→上司が部下に議事録を作成させる意図に寄り添えておらず、一方的に自己主張している。自分の考えは伝えれるが、上司が不快な気分になる可能性が高い
議事録作成の業務に対して乗り気になれないが、上司がAIの文字起こしを抵抗なく採用してくれるとも思えずに黙り込む
→自分の意見を押し殺し我慢することになるため、このままだと自分が疲弊しかねない
自分の意見や主張が対立を生まず正確に相手に伝わるかどうかは、こちら側の伝え方ひとつで変わってくるということが分かります。
方法②メタ認知を用いて他人の視点を考える
メタ認知とは、自分の考えや感情を一歩引いて見つめることです。自分の理解が正確か判断したり、偏った考えを持たないように感情をコントロールするときに必要です。(参考:日本心理学会「心理学ワールド」100号 三宮真智子「メタ認知の心理学」)
コミュニケーションにおいても、メタ認知は適切なトレーニングのもとで鍛えられれば、誤解やすれ違いを減らすのに役立てることができます。
メタ認知を用いたコミュニケーションに関する書籍の中で紹介されている、トレーニングの一部をご紹介します。(参考:三宮真智子『なぜ、あなたの話し方は誤解されるのか 意図を正しく伝えるためのメタ認知』)
自分の発言で相手を誤解させた事例を振り返り、どういった表現がその要因となっていて、何を踏まえれば今後の対策になるのかを冷静に考えてみましょう。
会議での発言を書き起こしたり、可能であれば録音したりしておきましょう。自分の話し方のくせやそれに対する相手の反応を、後から振り返ることができます。
インターネット上などで他者の討論の様子を観察し、それぞれの参加者の意見をフラットに評価してみましょう。自分自身が討論に参加する際にも参考にできます。
例えば「このアイディアは良くないものだ」という一文は、良くないと思っているのが発言者の主観なのか、客観的な裏付けがある物なのか判断が分かれます。
このように言葉が足りなかったり、語順があやふやなことで解釈の違いを生むメッセージをあえて作ってみることで、日頃から誤解のない表現を意識できるようになります。
これらのトレーニングをもとに、どのようなコミュニケーションが相手に誤解を与えないのかを考えていくことで、メタ認知の活用が意識的にできるようになっていきます。
方法③認知行動療法(CBT)を実践する
コミュニケーションにおけるトラブルだけでなく、自分自身の認知の歪みによってつらさを感じている場合は、認知行動療法(CBT)を実践してみましょう。
認知行動療法(CBT)とは、自分自身のものの受け取り方や考え方に働きかけて気持ちを楽にする精神療法のことです。(参考:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター「認知行動療法(CBT)とは」)
例えば、コップ全体の50%まで入った水を見て、「もう半分しかない」という捉え方から「まだ半分は入っている」という捉え方を変えるように、可能な範囲で自分の現実の見つめ方を楽にしていくのが認知行動療法の基本姿勢です。(参考:大野裕『はじめての認知行動療法』)
認知行動療法は、一般的に心療内科や精神科、メンタルクリニックなどで治療に一環として行われますが、自分自身で簡易的に認知行動療法を取り入れることができます。
以下は、うつ病のある人に向けて推奨されている方法ではありますが、自分の元気な時と気分が落ち込んでいるときの物事の捉え方をそれぞれ書きだす方法があります。(参考:厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)」)
- ①自分について
時には失敗もするけど、人並の実力はある
苦手な人もいるが、信頼されている方だ - ②周囲の人について
ライバルも、仲間のうちだ
夫婦は助け合うもの - ③世界観につい
ウマが合わない人がいてもいい
人生、七転び八起き
- ①自分について
自分は無能な人間だ
自分は嫌われ者だ - ②周囲の人について
この世は弱肉強食だ
家事は妻の仕事 - ③世界観について
みんなに好かれないといけない
少しでも失敗したらおしまいだ
このように、自分の物事の捉え方について理解が深まると、「今の考えは極端すぎたな」と、自分自身の認知の歪みに気づきやすくなるでしょう。
なお、認知行動療法(CBT)は、キズキビジネスカレッジ(KBC)のプログラムでも行っています。こうしたワークを専門スタッフと一緒に実施していますので、興味ある方はぜひお問い合わせください。
まとめ:あなたのペースで認知の歪みやASDの特性と向き合っていきましょう
認知の歪みは、無理にすべてを正そうとする必要はありません。
しかし、認知の歪みやASDによるこだわりの強さは、あなた自身を苦しめる可能性があることに加えて、対人関係の構築やコミュニケーションのでの障壁になることもあります。
そのため、もし今あなたが認知の歪みやASDによるこだわりの強さに苦しんでいるとしたら、スローペースでも良いので、取り入れられることから始めてみてはいかがでしょうか?
認知の歪みとASDの関係を教えてください。
ASDのある人は、あいまいな状況を苦手としており、その性質が物事を白黒思考で判断する思考につながるという関係性が指摘されています。
詳細については、こちらで解説しています。
認知の歪みによるトラブルを減らす方法はありますか?
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2025年6月現在17校+オンライン校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2025年9月現在9校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
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