キズキビジネスカレッジは、自身の特性を前向きに見つめ直すための「気づき」が得られる場所です。
キズキビジネスカレッジに通所するHさん。公務員として働いていたが、ADHDの診断を受けたことをきっかけに、仕事から離れることになる。親の勧め、そして英語の専門的なスキルを学びたいと思い、キズキビジネスカレッジへの通所を決意。通所してからは、様々な気づきを得ながら、自身の特性を前向きに見つめ直し、これからやりたいことを見つけ出すことに努めている。
自身の努力が周囲にわかってもらえなかった公務員時代
自分自身がADHDであることを知ったのは、社会人になってからでした。
ADHDの診断を受けたことをきっかけに、公務員として働いた職場を離れたのです。
公務員時代は、症状の特性からうまくいかないことが続きました。
電話対応では細かなミスが重なり、さらには聞き間違いも多く、上司からは何度も怒られていました。
特に接客は苦手で、一生懸命がんばっているつもりでも、お客様を前にすると頭が真っ白になり、ミスを繰り返しました。
どれだけ努力をしても、それは周りには伝わらず、職場での人間関係が悪化してつらい時期が続いていました。
そんなときに、市役所の担当医に休職を勧められ、同時にADHDという発達障害の可能性があることも指摘をされたのです。
その後、さらに詳しい検査を受けて、正式にADHDの診断を受けました。
前向きな期間に変えるためにキズキビジネスカレッジへ
仕事を休みはじめてからは、特に計画的に行動することもなく、何となく日々を過ごしていました。
そんな日々の中で、あるとき母が、キズキビジネスカレッジを紹介してくれたのです。
私の中で、障がい者就労というと、「単調な作業をさせられる」「自分の望む仕事ができない」というイメージがあったため、最初はその紹介にも耳を傾けることはありませんでした。
しかし、「英語の専門的なスキルを身につけることができる」ということを聞いて、キズキビジネスカレッジに興味を持ちました。
私は大学で英語を学んでいたので、英語の教員免許を持っています。
そのため、それをさらに活かして、スキルを身につけることができるなら、ここに通うのもありかもしれないと考えたのです。
自分がやりたいことをできない、作業所のようなところではないのなら、ぜひ行ってみたいと思い、早速見学を申し込みました。
実際に見学してみると、そこは私がイメージしていた場所とはよい意味で異なっていました。
利用者さんとスタッフさんとの間で、頻繁にコミュニケーションが交わされていたり、グループワークが行われていたりと、活気のある場所だったのです。
講座の内容についても、初めて受講してもわかりやすいように、しっかりと考えられた内容で行われていたりと、随所に工夫が見られるものでした。
そのとき、「きっとここなら、自分が学びたいことを確実に学べる」と感じました。
自分が仕事を休んでいる期間は、どうしてもネガティブな気持ちで満たされていました。
しかし、それが「前向きにスキルを身につけることができる期間に変えられるなら」と思い、見学後すぐに通所することを決心したのです。
自身の特性を前向きに見つめ直すことができるようになった
実際に通所してからは、発見の連続でした。
特に、自己理解講座を通して自分自身の特性を理解できたことは、大きな気づきになりました。
自分が「どうしても苦手にしていたこと」は、自身が持つ「ADHDの特性的に難しいこと」だったのだと理解したときには、どこかすっきりとした気持ちになりました。
それまでは、「自分は周りと違う」「周りと同じことは自分にはできない」と、自身を責めるばかりでしたが、それはADHDの特性なのだと気づけた瞬間に、そういった思い込みを切り離すことができるようになったのです。
「自分にできることは何か」「特性を活かせることは何か」と、自身の特性を前向きに見つめ直すことができるようになったのは、大きな成果だと思っています。
もちろん、スキルの面でも得られるものは大きいです。
期待していた英語のスキルを身につけるための講座はもちろんのこと、MoS基礎講座(ExcelやWordなど、マイクロソフト・オフィス製品の利用スキルを得られる講座)やビジネス企画においては、職場で自身が経験したことを活かして、周りの役に立つこともできました。
また、グループワークを通して、自分がどうやったらグループに貢献できるのかもわかり、自己肯定感を上げるきっかけにもなりました。
私にとってキズキビジネスカレッジは、専門的なスキルを身につけるだけでなく、自身がこれからADHDとうまく付き合っていくためのヒントがたくさん得られる場所なのだと感じています。
自分が好きなこと、やりたいことに目を向けてみてください
これまでは、自分の持つ特性がずっと悩みとなって、自身を苦しめてきました。
しかし、最近ではそれを、「どうやってうまく付き合っていくか」という前向きな捉え方に変わってきています。
もちろん、「なぜ自分は周囲とこんなにも違うのだろう」と自分を責める気持ちもわかります。
私も以前は、ずっとそんな気持ちを抱えている当事者でした。
でも、そんなときこそ、自分が好きなこと、やりたいことに目を向けてみてください。
もし、そこに目を向けられなかったとしても、その気づきを得るためのサポートをしてくれる場所は必ずあります。
私にとって、その気づきを得る場所がキズキビジネスカレッジでした。
まずは事業所に通ってみること、そしてスタッフの方とお話されることをオススメします。
少しでも自分ができることに目を向けられるように、次の一歩を踏み出してみてください。