国内初!SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)による少年院出院者への学習支援事業が始動。株式会社キズキが参加する事業体が法務省委託事業を受託。

2021/9/2

「何度でもやり直せる社会」をビジョンに掲げて学習支援や就労支援事業を展開している株式会社キズキ」(代表:安田祐輔、本社:東京都渋谷区、以下「キズキ」)は、法務省が行う少年院出院者への再犯・再非行の防止の実現を目指した学習支援事業に採択されました。
この事業は民間資金を活用した成果連動型委託契約でSIBを導入しており、株式会社公文教育研究会(代表取締役社長 池上秀徳、以下KUMON)と一般社団法人もふもふネット(代表理事:藤岡淳子)との共同事業です。

国の直轄事業である再犯防止分野において初めてSIBの手法を活用した新たな官民連携の仕組みを目指す先進的な取り組みです。
資金提供者である株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社CAMPFIREによる、クラウドファンディングを含めた多彩な資金調達を受け、KUMONの学習コンテンツ、キズキの寄り添い型学習支援、もふもふネットの心理面や生活支援といった、各事業者の強みを活かした学習支援事業を推進していきます。

SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)とは?

2010年にイギリスで開発された官民連携の社会的投資モデルで、社会課題を解決するサービスに、投資家が資金を提供してプログラムを実施し、削減された財政支出など、事業成果に応じて、自治体等が投資家へ成果報酬を支払う仕組みです。本事業ではプロセス指標とアウトカム指標の達成度合いに応じて、法務省から事業者に成果報酬が支払われます。

なぜ、少年院出院者における学習支援が必要なのか?

日本の高等学校等への進学率は、98.8%(令和元年学校基本調査)に上るが、少年院入院者の24.4%(令和元年矯正統計年報)は,中学校卒業後に高等学校に進学しておらず、また、少年院入院者の40.1%(令和元年矯正統計年報)は高等学校を中退している状況です。
他方、少年院出院者の13.1%(令和元年矯正統計年報)は,進学を希望しているものの、進学先が決まらないまま出院しています。この点について、令和元年に保護観察が終了した少年院仮退院者の再処分率は、学生・生徒であった者が11.8%であったのに対し、無職であった者は41.5%に上ります(令和2年版犯罪白書)。
こうした現状を踏まえ、新たな再犯・再非行防止対策として、少年院出院者に対して
個別の状況に合わせた基礎学力の習得を目指した学習支援の実施が求められています。

少年院出院者の抱える課題

最終的な再犯・再非行防止を目指した効果的な学習支援を実施するには、まずは少年院出院者の抱える課題を適切に把握することが重要です。私たちは、上述の背景や各団体それぞれの経験を踏まえ、少年院出院者の抱える課題は大きく分けて4つの側面が挙げられると考えています。

  1. 生活基盤
  2. 心理的安定
  3. 自己肯定感
  4. 学力

このうちの生活基盤は、家庭環境や金銭的支援によるところが大きいため、本事業のみでは解決することは困難です。しかし、他の 3 つの課題については本事業で対応できます。

課題 対策の方向性
心理的安定 「人による」支援を通して、落ち着いて学習できる環境を整える
自己肯定感 学習支援を通した日々の学習面の目標達成や、最終的な進路決定により、自己肯定感を育む
学力 年齢に関わらず、わからない範囲やレベルにさかのぼって基礎学力を身につけ、日常生活の安定や進学に結び付ける

上述のような課題を抱える少年院出院者に対する学習支援をKUMON、キズキ、もふもふネットの3社の強みを活かしてサポートします。

KUMON 学習コンテンツ 対象者が本事業の支援終了後も継続的に・自立し て学習できるための基礎学力および学習習慣をつけることができる「公文式学習法」
キズキ 学習面の支援 困難を抱える少年たちを支援したいという想いと 子ども一人ひとりの状況や特性に応じた指導力を備えた「人による」寄り添い型の学習支援
もふもふネット 心理面・生活面の支援 学習支援を有効に機能させるための再犯防止分野 における専門家の知見に基づく「心理面や生活の支援」

全体スキーム図と役割分担

(引用:KUMONプレスリリース )

団体名 主な役割
委託者 法務省 事業の委託者
受託者 代表事業者 株式会社 公文教育研究会 事業の実施計画・遂行のとりまとめ。①資金調達、②学習支援環境整備(教材提供、学習支援事業者への研修およびOJT)、③学習支援計画の作成・面接、学習支援計画の見直し、④成果のとりまとめ、報告の主体者。
受託者 グループ事業者 株式会社 キズキ 学習支援を行う。①学習支援計画の作成・面接、②出院後の学習支援(公文式学習の指導・運営、個別の目標に応じた学習支援、学習支援計画の見直し)を担う。(東京拠点)
受託者 グループ事業者 一般社団法人 もふもふネット 学習支援と心理的なケアなど生活支援を行う。①学習支援計画の作成・面接、②出院後の学習支援(公文式学習の指導・運営、学習支援計画の見直し)、③生活支援を担う。(大阪拠点)
外部専門家 心理的なケアなど生活支援を行う。対象少年のアセスメント、処遇計画作成、個別面談等による本人の心情把握および問題行動の変化と生活改善のための働きかけ、必要に応じての保護者との連携や危機介入を行う。
資金提供者 株式会社三井住友銀行 変動金利型貸付にて資金提供
資金提供者 株式会社日本政策投資銀行 あおぞら銀行を信託受託者とした信託受益権投資型スキームにて資金提供
資金提供者 株式会社CAMPFIRE 融資型クラウドファンディングにて資金提供(貸付)
外部評価機関 特定非営利活動法人 ソーシャル・バリュー・ジャパン 事業進捗について随時確認、SIBの観点からモニタリングを行う。 (代表理事:伊藤健…日本の社会的インパクト評価、ソーシャルインパクトボンド、社会的投資の普及促進に尽力。2015年に内閣府「共助社会づくり懇談会 社会的インパクト評価検討WG」委員会主査を務める。)

事業概要詳細

実施期間 契約締結日から令和6(2024)年3月31日まで
対象者、人数 支援対象者は、少年院出院後、東京又は大阪に帰住する少年のうち、高卒認定試験の受験を予定している者や高等学校への復学を希望している者など事業実施期間を通じて80名程度を想定
支援期間 出院前1~2ヵ月+出院後1年以内
業務内容 学習支援計画の策定、少年院出院後の支援(学習環境の整備、学習支援の実施、継続的な対象者の状況把握と学習支援計画の見直し)等
事業予算 最大支払額7,122万円 ※支払条件あり

参考情報

◆各社情報<事業体>

・株式会社キズキ

2011年にNPO法人として創業した後、2015年より株式会社キズキとしてより本格的に、不登校や高校中退等の困難を経験した子ども・若者の支援を開始。現在は、首都圏・関西・東海に計9教室を設け、現在(2021年8月時点で)生徒総数は約600名、支援した卒業生は累計約3,000名、相談件数は累計8,000名を超え、不登校・中退の方向けの学習支援機関としては全国屈指の規模。また、全国13の自治体からの委託事業(主に生活困窮家庭の学習支援)や、うつ病と発達障害の方に特化した就労移行支援事業所の運営(都内2か所)など、生活困窮や精神保健分野で様々な事業を展開。これまで交野女子学院などの少年院で学習支援(高卒認定試験、復学や進学に向けた学習支援)に取り組んできた(一部NPO法人キズキとして実施)

株式会社公文教育研究会 

教育実践を重ねる教育サービス企業(1958年創立)で、2021年3月末現在、世界50を超える国と地域で372万の学習者(全教科合計学習者数)に公文式学習を提供。国内外でのフランチャイズ教室展開による事業に加え、パートナーとの業務提携や学校・施設への公文式導入という形で公文式を活用していただくライセンス事業も展開。1977年より「少年院への公文式導入」の実績もあり、2021年3月現在、4か所で導入されている。 また、早くからSIB事業の可能性に着目し、2015年度の経済産業省「SIB調査事業」への参画を皮切りに、2017年に奈良県天理市で「成果連動型事業による認知症施策」、2018年に厚生労働省「認知症施策における民間活力を活用した課題解決スキーム等の官民連携モデルに関する調査研究事業」への参画、2019年からは3か年で天理市・福岡県大川市との成果連動型民間委託事業に取り組んでいる。

一般社団法人もふもふネット 

人々が非行・犯罪・暴力の悪影響を受けることを低減させることを活動の目標に、グループワーク等の活動を中心に2013年にスタート。非行・犯罪行動を持つ者に対する支援と指導の専門的技術によって、多くのプログラム参加者の心情の安定や価値観・態度を向社会的に向けることに成功している。また加害者・被害者本人だけでなく、家族を支援するノウハウによって、多くの家族を支えてきた。非行・犯罪領域における回復を支援する専門家の育成および司法臨床の質向上の観点において、研修の実施やスーパービジョンなど、指導的・主導的役割を担っている。

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