居場所がない奴ぁ俺んとこへ来い 俺もないけど心配すんな

連載「居場所の現在地」第4回

 安心できる居場所とは何か。「権威や同調性などから隔絶された居場所で息継ぎができたから、かろうじてメンタルを保てた」と語る川初真吾さん(一般社団法人COYOTE代表)が語る居場所論とは。(冒頭の写真はイメージ写真です)

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 根城にしている新宿ゴールデン街(以下「G街」)での一献は、何ごとも長続きしない僕の、上京以来20年あまり続いている唯一の習慣である(酒場通いが習慣ってそりゃお前ただのアルコホリックじゃないか…と思われても無理はないが、家ではほぼ一滴も飲まない)。しかし現在、もはや4度めとなった「飲み納め」を経て緊急事態宣言下の蟄居に甘んじている。

 現代に残るアジール――いわゆる「逃れの街」であり権威や同調性と隔絶された特異点としてのG街で息継ぎをすることで、僕はかろうじてメンタルを延命させてきたといってもいい。

 闇市や青線をルーツにするこの街では、もらい酒で渡り歩く流浪人や、ぱっとしない自由業者(僕のことだ)から、ビジネスエリートや文化人まで、そのステータスや財力などによる序列や非対称性はまず前景化しない(そんなつまらないことを鼻にかける野暮は「田吾作」認定である)。店にも客にも不登校経験者や元ひきこもりがめずらしくない。

【連載】居場所の現在地
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