「お金あげるから学校行って」不安と恐怖から言ってしまった言葉

 高校で不登校した息子さんが専門学校に行きはじめ、「これで何もかもうまくいく」と思い込んでいた後藤誠子さん。しかし、息子さんは2度目の不登校になってしまうのです。強い不安と恐怖心から、後藤さんが息子さんに言ってしまった言葉とは(連載「不登校は幸せへの道」第10回)。※写真は後藤誠子さん

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 イヤな予感は当たった。2月初旬、次男から電話が来た。来学期の授業料を全額振り込んだ数日後だった。電話なんてめずらしい、どうしたのだろう。電話の向こうの次男は口が重く、なかなか話し出さない。「どうした? 何か話したいことでもあった?」。「じつは」と次男。12月ぐらいから専門学校へあまり行っていない。今はまったく行っていない、そして、もう二度と行けないと思う。ぽつり、ぽつり、と次男は話した。

 私は頭が真っ白になって、次男が高校生だったときの、あの地獄のような日々がよみがえってきた。「何言ってんの? 楽しそうにしてたじゃん。進級できるって言ってたよね? またなの? もうイヤだよ、あんなこと。ちゃんと学校行くって約束したよね? ねぇ聞いてるの? 学校行ってよ。学校行きなさいよ」。

 次男は何も言わない。私だけが電話に向かってまくし立てていた。次男からの答えはない。ならばとすこし優しく言ってみた。「仕送りもっと増やそうか? バイトなんかしなくてもいいから、とにかく学校行きなよ。あと1年で卒業できるんだから」。

【連載】不登校は幸せへの道
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