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ほしいのは共感?それともアドバイス?相談をする際の3つのコツ【全文公開】

 人に相談しようと思ったとき、あなたがほしいのは「共感」ですか?それとも「アドバイス」ですか? 不登校支援に携わる土橋優平さんは、人に相談する際に3つのルールを守ると、相談がうまくいく、と言います。3つのルールとは何か。解説します。(連載「出張版 お母さんのほけんしつ」第18回)※写真は土橋優平さん

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 「子どものことを友人に相談したのですが、軽く流されてしまいショックでした」。親御さんからそんな声をいただくことがあります。みなさん、子どもが不登校になってからすくなくとも1度は人に相談したことがあるはずです。でも毎回求めている返事がもらえるわけではありませんよね。私だって悩むことは多くあり、よく人に相談します。そのとき、相談するときの自分ルールがいくつかあります。今日はそれを共有させていただきます。

とりあえず話す

 私が人に相談するときに大切にしていることは3つあります。1つは、自分で悩みを整理できていなくても、とりあえず話してみることです。人に相談するときに「ちゃんと整理して伝えないと」と思うことはありませんか? 私は悩んでいるときは整理できなくてよいと思っています。なぜなら、悩んでいるときに、自分のなかで考えを整理しようとしても、なかなかできないものだからです。むしろ「なんでこんなにつらいんだろう」と深みにはまってしまうことすらあります。相談するときはムリに整理をせず「悩んでます」、「つらいです」の一言からスタートでいいと思います。相手の口から出る「そうなんだ、どんなことで悩んでるの?」という言葉を待つスタンスでいいと思うんです。1人で考えずに、全力で相手に寄りかかることも、ときに必要です。

 2つ目は、相手に目的を伝えること。大きく分けて「共感してほしい」か「アドバイスがほしい」かです。人に相談したときに「意見を押しつけられた」、「全然ヒントになることが得られなかった」ということはありませんか? それは相手と話すうえで、目指すゴールにズレが生まれてしまっていたからかもしれません。話を聞いてほしいとき、とにかくしんどいときは最初に「共感してほしい」、「何も言わずに頷いてほしい」と伝える。頭のなかに課題が明確にあって、どうすればいいのだろうと考えているときには「アドバイスがほしい」、「あなたならどうする?」と伝える。そうした求めていること、目指したいゴールを最初に示すことがとても大切です。

分かり合えない

 3つ目は、「分かり合えない」が前提であると理解することです。たとえ夫婦であっても、きょうだいであっても、相談主とは異なる別個の個体です。まったくちがった人生、環境で生活してきた、別の価値観、人格を持った存在です。相手の考えや気持ちをわからなくてあたりまえなんです。「わかってほしい」というその気持ちは十分にわかります。でも同じ人間だから、同じ○○だから「わかるだろう」という考えは、大きな期待の感情に変わり、それは失望につながります。別個の個体、たまたま姿形が似ていたから「人間」という種でカテゴライズされているだけ。そんなふうに考え、「分かり合えない」を前提にすることで、だいぶ気持ちは楽になります。すこしでも共感してくれたら、すこしでもヒントになる単語が聞けたら、それだけで十分相談した価値はあったのだと思います。

 このように相談するという行為にも大切なスタンスやコツがあります。今後みなさんが相談するときの参考になればさいわいです。


■執筆者/土橋優平(どばし・ゆうへい)

NPO法人キーデザイン代表理事。不登校支援のほか保護者向けLINE相談「お母さんのほけんしつ」を開設中。

(初出:不登校新聞606号(2023/7/15発行)。掲載内容は初出時のものであり、法律・制度・データなどは最新ではない場合があります)

【連載】出張版 お母さんのほけんしつ
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