「息子のことがわかりません」不登校する理由がわからず自分を責め続けた母が決めた覚悟

 「この11年間、どうして行きしぶるのか、息子の気持ちがわからないまま。わかってあげられないことが何より苦しいですね」と語るのは、佐々木はるかさん(仮名)。息子の翔太さん(14歳・仮名)は幼稚園のころから行きしぶりが始まり、中学2年生の現在は不登校となっている。11年にわたって見守ってきたはるかさんに、長いトンネルのなかで考えてきたことや、昨年起きた気持ちの変化についてうかがった。

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――現在、中学2年生の翔太さんが不登校だとうかがいました。今、どのようなことに苦労されていますか?

 翔太のことは、「何もわからない」というのが正直なところです。わからないことが苦しくて、「せめてSOSを出してくれたら……」と何度思ったかわかりません。

 うつ状態でもないし、昼夜逆転もしていないし、部屋に閉じこもるわけでもないんです。いつもリビングでゲームをしたりユーチューブを観たりしていて、私と話をすることもあります。要するに元気なんですよね。でも、学校へ行けない。幼稚園のころから行きしぶりが続いていて、中学校は入学式にも行けませんでした。

 家族としても3つ上に兄がいるのですが、小さなころからあまりコミュニケーションをとらない兄弟だったので、兄から何か働きかけることはありません。夫も登校を急かすようなタイプではなくて、月に1回、基礎英語のテキストを買ってくるくらい。あとは見守っていますね。だから、家のなかは穏やかで、淡々と時間が流れています。

 私としては、翔太が何かに困っているのなら理解して、助けてあげたい。でも「どうして学校へ行かないの?」と核心にふれるようなことを聞くと、心のシャッターを下ろしてしまうんです。

息子の学び 私が奪っている?

 学校へ行けば、いろいろなことを経験できるでしょう? そう思うと、学校へ行けるように仕向けられない自分が不甲斐なくて……。翔太がたくさんのことを学んだり、体験したりするチャンスを私が奪っているような気がして、ずいぶん長いあいだ、自分を責めていました。

――幼稚園に入ったころから行きしぶりが始まったのですね。

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