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「他人が怖いんですが、どうやったら話せますか?」不登校経験者がコミュニケーションのプロに聞いた、他人を怖がらずにすむ方法

 不登校経験者で本紙連載「前略、トンネルの底から」の執筆者・古川寛太さんが質問したのは、「プロ営業師」、「プロ飲み師」を自認する経営者・高山洋平さん。高山さんはコミュニケーションスキルを活かし、不動産会社とIT企業で営業成績を上げ、自身の会社「株式会社おくりバント」を立ち上げた。今も人との付き合い方に悩むという古川さんが、高山さんにコミュニケーションの極意を聞いた。(写真は高山洋平さん)

* * *

――今日はコミュニケーションについてお聞きしたくて来ました。僕は人とのコミュニケーションにずっと悩んできました。他方で高山さんは「プロ営業師」、「プロ飲み師」を自称されています。きっと他人と打ち解けるコツみたいなものをたくさんお持ちだと思うんです。

コツというほどのことはないですけど、相手の立場に応じてキャラを変えたり、コミュニケーションを変えたりなどはしていませんね。

たとえば、えらい社長がいたとして、その人に「本当にすごいですね」とか「どうやったら成功できたんですか?」とか、そういうことを聞く人もいますよね。でも、社長さんからしたら、そういう質問はめっちゃ聞き慣れています。「オレ以外の人にも同じような質問をしているんだろうな」って、わかっちゃうんですよ。「もっと中身を見てくれよ」と。これは社長だろうと一般の人だろうと、同じだと思うんです。

コミュニケーションの根幹って、相手が持ってない知識で勝負することなんですよ。たとえば大きい会社の社長がいたとして、たしかにビジネスでは、自分はまったくその人に勝てないとする。でも、うまいラーメン屋の情報はオレのほうが知っているな、ということもあるじゃないですか。相手が知らないことを自分は知っている。すると、補完し合える関係になれる。だから自分の得意なことをつくっておくと、相手がどんな人でも引けを取らないですよ。

僕がそのことに気づいたのは、15年ほど前、中国へ行ったときです。中国には5年間いましたが、そのときはバブル期だったし、いろんな会社の社長とか、えらい人たちが視察に来たんです。その人たちはものすごく仕事のできる人です。でも、中国に来たらタクシー1つ乗れないんですね。ごはんをどこに食べに行けばいいかもわからないし、何を頼んだらいいかもわからない。でも僕は中国での生活に慣れていましたから、それができる。そうすると、僕よりえらい人たちに引けをとらないわけです。堂々とコミュニケーションができる。

――僕は、真逆をやっていました。自分と相手を比べて、相手を上に見ていました。

それだと下からのコミュニケーションになっちゃいますよね。上下関係にもとづいたコミュニケーションをされても、ほとんどの人はうれしくないと思いますよ。うれしがる人も一部いると思いますが、そういう人は頭がおかしいですよ(笑)。人には上も下もないんですから。あなたはこの能力はすごいけど、自分だってこういう特技がある。そういう関係で関わると、コミュニケーションが怖くなくなりますよ。

取材風景(左・高山洋平、右・古川寛太)

話のネタは豊富にある

――自分にコンプレックスがあると、他人が怖くなってしまうんですよね。

それも考え方次第だと思いますよ。さっきの中国の話で言えば、僕は最初、中国語がほとんどしゃべれなかった。でも、中国語がしゃべれなくても中国人とコミュニケーションは取れるんです。

僕らは子どものころにジャッキー・チェンにハマったり三国志にハマったりして、中国文化にはある程度親しんだ世代です。僕はその後も30歳くらいまで中国映画を見続けていました。そうなってくると、そのへんの中国人よりも僕のほうが中国映画にくわしいんですね(笑)。

だから「この映画観ました? ここが好きなんですよ」って言ったら「よく知っているね」とか「おお、わかっているじゃないか」という感じで、共通項が生まれる。共通項が生まれたら話は弾むんです。だから、ものを知ることはいいことだなと思うんですよ。

中国映画を観ている人はとってもすくないですよね。でも僕はくわしいから、相手の知らないことをしゃべることができる。だから人々は僕の話に興味をもってくれるんです。

不登校も同じだと思うんですよ。不登校の人はマイノリティですよね。でもだからこそ、多くの人は不登校の人がふだんどんな生活をしているのか、興味があるはずです。だから、じつは不登校・ひきこもりの人は話す話題がいっぱいあるはずなんです。自分は人がしていない経験をたくさんしているんだ、と強く思ったほうがいいです。ふつうじゃできない経験をしてきたぞ、話のネタは豊富にあるぞ、と。

――たいへんポジティブですね。いつからそういうふうな考え方になったのですか?

ネガティブになったって誰も助けてくれないってことが、あるときわかったんですよ。

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