不登校時の趣味を仕事にした漫画家が描く「僕の不登校その後」

 今回お話をうかがったのは、漫画家の棚園正一さん。棚園さんは小中学生のときの不登校体験を2015年に漫画化。その続編となる新刊を今年3月に出版した。新刊に込めた思いなどを語っていただいた。

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――前作『学校へ行けない僕と9人の先生』から6年、続編を書くに至るいきさつからお聞かせください。

 『学校へ行けない僕と9人の先生』を出版したあと、ありがたいことに不登校関係の講演会の講師としてお声がけいただくようになったんです。前作では小学校1年生で不登校したきっかけから中学生までの9年間の実体験を漫画にしたわけですが、講演会での質疑応答では「その後はどうなったんですか?」という声をいくつもいただきました。後日談も描きたいなと思っていたところ、前作を出した双葉社からオファーをいただき『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』を出版する運びになりました。

――講演会のことは新刊の第1話でも描かれていますが「もっと具体的な解決策が聞きたかった」「棚園さんは運がよかっただけ」といった声もあったとあります。

 そうですね。そういう意見は全体の1割にも満たないんですけど、よい意味で、僕のなかでひっかかる部分があったのはたしかです。ただ、以前と今とでは、そうした声の受けとめ方が僕のなかで変わってきました。

 講演会で僕の不登校体験を話し始めた当初、さきほどのような声がアンケートで届くたび、無力感に近いものを感じていました。僕の話はあくまで僕個人のものでしかないんだなって。もちろん不登校は千差万別だし、僕のケースが広く一般化できるものと理解していたわけではありませんが「もっと気の利いたことを話さなくてはいけないのではないか」「どういう言葉を返せばみなさんの力になれるのだろう」と悩んだこともありました。

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