「風がそよそよ」がわからない 外国ルーツの子どもたちの生きづらさ

 「風がそよそよ吹く」の「そよそよ」って何? 東京都新宿区にある小中高生を対象とした、交流や学習の居場所「みんなのおうち」には、おもに外国にルーツを持つ子どもたちが通っています。そんな子どもたちにとって、生きづらさの源となるのが「語彙力の壁」です。今回は「みんなのおうち」代表の小林普子さんに、外国出身の親のもとに生まれ、日本で暮らす子どもたちの特有の事情や生きづらさについて、お話しいただきました(※写真は小林普子さん)。

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――「みんなのおうち」に来ている子どもたちのことから聞かせてください。

 「みんなのおうち」は新宿区の大久保地域で、雑談したり、学習したり、ご飯を食べたりなど、いろいろなことに使える居場所として運営しており、多様なルーツを持った子たちが通っています。もともと新宿区は都内でも外国籍住民の割合が高く、公立小中学校における外国ルーツの子どもの在籍数も多いのです。その割合が6割を超えている学校もあるくらいです。

 私たちのところにはおもに、中国やフィリピン、タイ、ミャンマーなどアジアにルーツがある子がやって来ます。みなそれぞれ日本で暮らすようになったタイミングはバラバラで、ある程度大きくなってから来た子や、幼いころに来た子、日本で生まれた子もいます。親の母国と日本を行ったり来たりしている子もいますね。

 また「外国ルーツ」と言っても、かならずしも外国籍ではなくて、日本国籍を取得している場合もあります。名前が日本名の子もいて、言われなければ外国にルーツがあるように見えないことも。しかしその「見えない」ことが、学校で生きづらさを感じる要因になっていたりするんです。

「みんなのおうち」のようす

 「みんなのおうち」に来ている子たちで不登校をしている子はあまりいないのですが、学校が苦しくなって行けなくなる子もゼロではありません。過去には、「死にたい」とまで思いつめてしまった子もいました。学校へ行っている子たちのほうも、何も悩みがなく行っているわけではないです。親との関係や経済状態から、家にずっと居ることができない子もいるんです。それに学校へ行けば、自分と似た境遇の人たちに会うことができます。仲間の存在があるからまだ学校生活を乗り切っていけるのです。
 
――外国ルーツの子どもたちは学校でのどんなことが生きづらさにつながっているのでしょうか?

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