0からマネージャーに/米倉昌代
2021/8/28
就労支援事業部でマネージャーを務めている米倉昌代(よねくら・まさよ)と申します。キズキビジネスカレッジ新宿御苑校のスタッフとして働いています。
キズキビジネスカレッジ(KBC)は専門スキルの習得と多様な進路への就職を支援するビジネススクールです。「就労移行支援」という障害福祉サービスの枠組みを利用してサービスを提供しています。
キズキに入社してから2年2か月が経ち、今年の7月からはマネージャーになりました。(※2021年7月末時点)
入社前は、マーケティングコンサルタント会社の正社員から、スキンケアメーカー
のパート、市場調査会社の派遣社員、フリーランス等、さまざまな業界・雇用形態を経験してきました。
福祉・教育業界未経験の私が、なぜキズキに入社し、マネージャーというキャリアを築くことができているのか。そんな私の道のりと、KBCの仕事についてお話しします。
KBCの具体的な支援業務や、キズキでの働き方にご興味をお持ちの方は、ぜひお読みいただければと思います。
これまでのキャリアを活かして社会課題に取り組みたい思いで、キズキに入社
大学では社会学部でマスコミュニケーションを専攻し、社会全体の動向や、人々の心情・行動の変化に興味を抱きました。
卒業後は新卒でマーケティングコンサルタント会社に入社。精力的に働き、忙しい日々を過ごしました。7年ほど経つと仕事一本な生活に少し疲れてしまい、「違う世界を見たい」と思うように。退職して、フリーランスになりました。
フリーランスといっても大きく業務内容が変わるわけではなく、前職の会社からの繋がりでマーケティング調査やレポート作成等の業務を受けていました。また、PC操作が得意だったので、学校法人に導入されたシステムのオペレーション業務も行ないました。
十数年のフリーランス生活の後は、パートとして印刷会社のシンクタンク部門に転職し、地方自治体の条例策定のための調査に従事した後、同じくパートとしてスキンケアメーカーで一般事務としての勤務と、さまざまな業界を経験しました。
キズキに入社する直前は、市場調査を行うマーケティング会社に派遣社員として勤務しましたが、社員に比べて裁量権や責任範囲が狭い派遣契約は性に合わず辞めました。
「今後の人生で、責任を持って成し遂げたいことはなんだろう。私はどのように働きたいのだろう。」
知らない世界を知りたいという好奇心で職場を転々としていた私ですが、今後のキャリアを考えて人生を振り返った時に、「社会課題の解決に寄与できる仕事があれば……」と将来について考えていた時期を思い出しました。
それは、東日本大震災が起きた時のこと。当時フリーランスで時間的制約が無かった私は、「何か自分にできることをしたい」と思い立ち、復興ボランティアとして宮城へ向かいました。
最初は気仙沼・陸前高田で、がれき処理や被災地の方にお渡しする古着の仕分け、炊き出しの手伝いを実施。二度目は南三陸町で仮設住宅に住む方に食料を配り、お話をしました。
被災に遭われた方とは、支援する・されるという垣根を超えて、これまでの歩みやその時々の感情、今考えていることなど、多くのことをお話しました。
互いの経験や感情の共有を通して感じたことは、「多くの人を知れば知るほど、自分という人間への理解も深まる」ということです。
私自身もさまざまな困難を経験してきたけれど、被災に遭ったことはありません。けれども、お互いの経験に共感できることもあるし、異なる苦しみや悲しみを抱えているのだと気付かされることもある。そうした発見の連続で、自分を俯瞰的に見るようになりました。
そして交流後は時として、私のほうが癒され、励まされるときもあるのです。お話した方々には今も感謝しています。
「私ばかりが励まされるのではなく、私自身も、誰かの人生を豊かにできるような存在になりたい」
そのために、さまざまな人たちのリアルな生活を知り、寄り添う仕事をしてみたいと思うようになりました。
阪神淡路大震災が起きた際にも現地の人々が心配だったけれど、当時会社員だった私は自分のことだけで一杯になってしまい何も出来ずにもどかしかった記憶も、「今回は見逃してはいけない」という思いに繋がっていました。
「人に寄り添うとはどういうことなのか知りたい」という思いとは裏腹に、フリーランスで生活を安定させながらボランティアを続けることが難しくなっていき、疎遠になっていきました。
当時の葛藤を思い出し、NPOやソーシャルベンチャー等が掲載されている求人サイトを見るように。そして見つけたのがKBCスタッフの募集要項です。
また、社会全体におけるマーケティングを長年続けていくうちに、「顔が見えない大勢の人々ではなく、顔が見える特定の人々の心が知りたい」という思いもありました。
「就労移行支援なら、自分の多様なキャリアや経験を活かすことができる。これからは、就労で生きづらさを抱える大人の力になりたい。」
こうして、キズキへの入社を決めました。
利用者と企業、双方にとって意義のある一気通貫した支援を行うKBC
KBCスタッフの業務内容は、①生活支援、②キャリア支援の大きく二つに分れています。
「生活支援」では、主に利用者への支援全般と外部機関・行政との連携を行い、「キャリア支援」ではキャリア相談や企業との連携を行います。そして、私が主に担っているのは後者です。
KBCの利用者は、病気や障害による心身の不調に悩む方が多いため、まずは体調の安定を最優先に、サポートします。
体調やメンタルが落ち着いてきたらキャリア面談を実施し、KBC卒業後に行いたいことや理想の働き方をヒアリングします。就職活動の軸や企業選びの条件が決まったら、求人探し、エントリーシートの添削・面接練習や振り返りといった、一連の支援をします。
就職後の半年間は、利用者が新たな就職先で安定して就業するための「定着支援」を行います。
具体的には、週に1回の利用者との電話面談や、月に1回の利用者と就職先の上司、KBCスタッフとの三者面談です。利用者の勤務状況や困りごとを聞きながら、企業と利用者の信頼関係を深めるための手伝いをします。
企業との連携では、障害者雇用の担当者をKBCに招いて講義や企業説明会を開催し、利用者が興味を持ったら企業見学を依頼します。このように、企業・利用者・KBCそれぞれの関係性を深め、適切なマッチングが欠かせません。
半年間の定着支援が終了した後も、希望があれば引き続きスキル・キャリアアップのフォローを行います。
また、利用者に向けた講座を持つこともあります。
私は「就職先研究ゼミ」を担当しており、厚生労働省が定める「職業能力評価基準」に基づき、働くうえで必要なスキルや、職種ごとの業務内容を解説しています。
「人の数だけ人生があり、魅力がある」
人としての気づきをくれるKBC利用者の存在
普段は利用者をサポートしている立場ですが、同時に、私も利用者の方々から多くのことを学んでいます。
利用者のなかには、障害や病気の他に、生まれ育った環境等によって苦労してきた方や、今も困難な状況にいる方がいます。
それでもどうにか、自分自身や人生を変えたい一心で努力する姿を見ると、とても心が動かされますし、私自身励まされています。
不特定多数を対象にしたマーケティングをしていた昔では経験できなかった、「特定の人々の心を知ること」が出来ている今、世の中にはさまざまな魅力を持つ人がいるのだと気づくことができました。
行動指針に基づいた、キズキ社員の「他者を思いやる誠実な人柄」
キズキで働くうえで最も魅力に感じることは、「どんなときも冷静かつ穏やかに接する社員の人柄と、チームワークの良さ」です。
KBCに限らず、キズキではさまざまな困難を抱える人を支援しているため、ときには業務の中で、非常に悩むことや心が落ち着かないことも起きます。
そんなときも感情をコントロールして社内外問わず穏やかに接し、建設的な議論をする社員の皆さんから、仕事と人への誠意を感じます。
社内の人間関係に悩むこともない ので、利用者に向けた最善の支援や、事業部の成長にリソースのすべてを使うことができています。こうした職場環境の構築には、キズキの行動指針 が根付いているのだと思います。
新型コロナウイルスが流行する前に開催された、事業部をまたいだ飲み会では、年齢・性別関係なく和気藹々とした雰囲気で、心が和みました(笑)。
私自身、他事業部の知見やノウハウから、より多くのことを学びたいと思っているので、社員の皆さんと関わる機会が無くなってしまったのは、とても残念です。
転んでもただでは起きぬ。キズキが求める「挑戦志向と開拓心」
KBCスタッフに向いている方は、「自分にも他者にもポジティブな方」です。大変なことが起きたときも、真面目に取り組みながら面白さを発見できる方、そして学びや教訓に変えられる方は、ぜひKBCの仲間として一緒に働きたいです。
KBCには就職活動期間が長くなる利用者もいます。ご本人は落ち込んでいますが、私としては、それがネガティブなことだと思っていません。もちろん本人の希望通りの進路を選択できることは嬉しいことですし、そのために最大限のサポートに尽力します。
けれども、百発百中で就職活動が成功することが、必ずしもその人の為になるとは思っていません。なぜなら、ストレートに転職することができなくても、その分経験したさまざまな企業の見学や、将来を深く思考する時間が、のちに人生の財産になると考えるからです。
ご本人と一緒に落ち込むのではなく、「この方の悲しみや経験は今後の糧にして諦めず、必ず次に繋げる」という覚悟を持って接しています。
先述した通り、キズキには心優しい社員の方々で溢れています。
そのうえで、キズキの成長に必要なのが「チャレンジ精神」や「開拓心」です。
福祉業界というと、今もなお古い体制が残る部分もあり、改善できる箇所が多く挙げられます。キズキも、ITツールの導入や業務効率化の検討を進めている最中です。余計な手間を省き、最善の支援の実現のために時間を使う。そうした改革の姿勢があるところもまた、魅力の一つです。
もしかしたら、この記事を読んでくださっている方の中には、異業種からキズキへの転職に興味があるけれど、福祉分野の知識が無いことを懸念している方もいらっしゃるかもしれません。
そんなあなたには、「一度キズキの環境に飛び込み、これまでの知識や経験を存分に活かしてほしい」と思います。
私の場合、過去の多様なキャリアが、利用者の前職での環境や次のキャリアのイメージを持つことに役立っています。福祉分野の知識や経験は無かったですが、自分が活躍できる場所だと思いました。
そして、今年の7月からは経験したことのないマネージャーになります。これからもチャレンジ精神を持って、目標を高く楽しみながら頑張ります。
今後のキズキは、より一層スピード感のある事業拡大を目指し、スタッフを主導するマネージャーや、高度なビジネススキルを必要としています。社会課題の解決に奔走しながら、キャリアアップの両立も可能です。
興味をお持ちいただけましたら、説明会への参加や問い合わせをしていただけると嬉しいです。